理想の未来社会の手がかりに
資本主義経済が当たり前の社会では、資本主義以外の世界を想像するのは難しい。
本書は、2008年秋の金融危機で資本主義が崩壊した「もう一つの世界」といまだ資本主義経済の現世界との交信を通して資本主義社会ではない世界があり得るのではと思わせてくれる。前半部分で資本主義崩壊後の社会がいかに運営されているか、その仕組みが語られる。「もう一つの世界」は、誰もが生まれた瞬間に資産が支給される「パーソナル・キャピタル」、企業で働く人に発言権が平等に与えられる「1人1株1票」など、富が極端に集中しないよう工夫された制度によって資本主義の矛盾が解消された世界として描かれる。後半、主人公たちは「もう一つの世界」への「脱出」を試みるが…。
「もう一つの世界」に思いを馳せ、理想の未来社会を思い描く手がかりとして、何度もじっくりと読みたい本。
